アメリカでデルタ変異株拡大、若い患者が急速に症状悪化
新型コロナウイルスのデルタ変異株が感染者急増をもたらしている米ミズーリ州では、医療機関はこれまでに比べて若い年齢層の患者への対応に追われている。こうした患者は従来よりも急速な症状悪化に見舞われているようだ。
同州の病院マーシー・ヘルスシステムで入院患者の治療に当たる医師レイチェル・キーチ氏は、「彼らは、より高濃度の酸素をより早く必要としている。それでも病棟医にできることは限界に達し、急いで集中治療室(ICU)に移す必要が生じている」と話す。
米国の新型コロナ感染による死者数は、昨年のピーク時に比べれば大幅に少ない水準で推移している。しかし、ミズーリ州での不吉な数字は米国の他の地域にも警鐘を鳴らす。
同州では、人口10万人当たりの新規入院患者数が6月初旬から前週末までに3倍以上に増加した。年齢別では40代が約400%増と最大の伸び。それに比べれば小さいものの、60代以上も大幅な増加となっている。
こうした傾向がどの程度広がっているかは定かではないが、キーチ氏が勤める病院の例は、ワクチンの存在があっても感染力の強い変異種が米国のコロナ禍の様相を変えていることを示す一例だ。
米国ではワクチンは十分な量が確保されているにもかかわらず、接種完了者が人口に占める割合は約半分で、アラバマ、ミシシッピ両州では約3分の1にとどまる。この遅れが、感染収束に向けた国の取り組みを妨げている。中西部や南東部の感染ホットスポットでは、病棟のみならずICUも受け入れの限界に達しており、人員も不足している。新型コロナ感染症は今や大部分で予防可能となっているだけに、ウイルスとの闘いで消耗してきた医療従事者の間では接種の遅れに対する不満は特に強い。
いくつかの重要な数字は、状況が悪い方向に進んでいることを示す。米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長は22日の会見で、ここ1週間の1日平均の新規感染者数が53%増え、入院患者数は約33%増えたと語った。感染症例の約40%は、ワクチン接種率が相対的に低いフロリダ、テキサス、ミズーリの3州が占める。
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